走り続けたのでピットイン。
といっても私が入院したとかいうことではなく、車です。
10,000㎞走行するとオイル交換のサインが点灯するので
すぐにピットインします。
たまたまディーラーにいた担当の営業Tさんと会話する。
T氏 「買って1年で30,000㎞ってどんだけ走り廻るんですか。」
私 「基本、高速ばかりなので距離ばかり稼いで、お金は稼げないのは職業柄 ですかねー。」
T氏 「ほんと、いろんなところですれ違いますよ。」
私 「このペースだと5年後、乗り換えするときに下取りキビシイですよ ねー?」
T氏 「高速道路ばかり走る10,000㎞と、街中を走る10,000㎞は全く違いますよ。」
私 「ん? どーゆーことです?」
T氏 「そもそもですね、ストップアンドゴーばかり繰り返す運転は、エンジンにもタイヤにも、ブレーキパッドにも いろいろと負荷がかかるんですよ。車の査定は走行距離に起因するところが大きいですが、船舶のように エンジンの稼働累計時間でジャッジするべきだと思います。」
「あとは定期的にメンテナンスを行うこと。長く乗ることはメンテ大事! 査定 はメンテ経歴大事!」
こんな話を聞きながらアタマの中で「建築」に置き換えて聞いていた。
・竣工後も専門家による定期的なメンテナンス
・健康診断を受診するように建築も建物診断
・不具合箇所があれば速やかに改善
・世代交代やニーズが変われば改修工事を行うが、その際に工事履歴を記録する
・長く愛着を持って住み、そして使い続けるためには愛情が大事
ということで、山口県萩市で開催されたの
歴史まちづくり ~歴史的建造物は地域社会にどう貢献できるか~ に参加しました。
観光客が廊下を行き来する旧明倫小学校(萩・明倫学舎)にて授業です。
まるで参観日のような雰囲気で、なんだかソワソワする。
萩市土木建築部 S部長から明倫館保存改修の経緯をご教示いただく。
続いて国指定重要文化財 熊谷住宅(熊谷美術館)を視察しました。
国土交通省が取り組むユニークベニュー(歴史的建造物や地域特性を活用し新たな活用の場とする)を実践する熊谷住宅。
この日は現代抽象画家の巨匠 山本浩二氏がひと際目を光りました。
土蔵や数寄屋建築。畳の間を設える襖に 老松(黄) の色彩。
萩市観光政策部 部次長のO氏が分かり易く、そして熱い言葉で解説いただきます。
書院。
格子。
土間。
この三和土でピアノコンサートも開催していると。
萩市にある笠山。 その笠山から取れる笠山石の基壇部。
萩市役所、萩公民館。萩城下町など随所に使用されています。
ちなみに今は笠山が国定公園に指定されているため笠山石の採掘は出来ないとのことでした。
マチから見る外観。
続く土塀。
JR西日本のデスカバリージャパンやanan。non-noの雑誌でも取り上げられた土塀の美。
熊谷住宅(熊谷美術館)のオーナー(現当主)がちょうど東京から帰省されていたので
話を伺うと、この土塀を改修するためには2,000万円必要だと。
このままの美が美しいと思う。
でも当時のオリジナルもまた見たいと思う。
改修してしまうと土が入れ替わるからオリジナルとは言えない。
しかし、表層は“今”の土であって基層は“オリジナル”を残せばそれば“オリジナル”と言えよう。
愛しく思うこと。
愛着を持つこと。
愛情を注ぐこと。
建築も、車も、人の心も。
長く。よき関係で。