2018.10.09

今回は少し変わった切り口。というかお話。

 

行政の財政について考える回です。

 

少子高齢化による全国市町村のひっ迫した財政状況。
私の住む山口県。税収の目減りと福祉・介護の医療費・介護手当の上昇。
建築土木分野では道路やトンネル、橋梁や公共建築の維持管理費が嵩む今の時代。

 

県内市町の一つである下関市も厳しい状況です。

 

県や市町は公共建築を民間に払い下げ、また建物を除去(解体)し、支出を下げる。

ネーミングライツを多用し、建物や道路。歩道橋まで門戸を広げて税収を確保する時代です。

 

そんな折、下関市体育館を解体し、新たに総合体育館を建設するニュースが入りました。

 

建築家 坪井善勝 氏 の設計である下関市体育館。

建築家の私にとって、下関市民にとって、日本という国家にとって
これは大きな建築文化の喪失だと懸念するのです。

下関市役所も建築家 前川國男 氏のDNAを繋いだ建築であって
今は解体され、どこにでもある、コンセプトなしの単なるハコモノ建築に成り果てつつあります。

 

保存か解体か。
改修か新築か。

本質は一体どこにあるのでしょうか。。。

 

代々木オリンピックスタジアムや香川県庁舎を設計した建築家 丹下健三 氏。
その丹下氏の描く建築を具現化した 構造家 坪井善勝 氏。

 

下関市体育館はその坪井氏が意匠と構造を造り上げた世界に代表する建築なのです。

大空へは羽ばたくようなダイナミックなファサード。

3本の柱で大屋根を受け、ホールとコリドー、そして階段へと採光を降り注ぐカーテンウォール。

 

意匠と構造が融合したディテールはまさに秀逸です

 

ファサードのデザインが内部へと継がれた内観。

時代の変遷とともに、頂部のハイサイドライトが塞がれたものの
昇華された意匠は見ごたえあります。

 

 

続いて卓球場。

 

ポツポツとトップライトが見事に効果し、照明なしでも情緒ある重厚な雰囲気を醸し出します。

 

巡って外部へ。

庇と列柱。そして大屋根の漏斗が造形美です。


 

フグや魚の鱗とも称される時代を超え、光り輝く屋根材。

 

 

小学生の頃はジャイアント馬場を見て。

中学生の頃はバスケットボール。

高校、大学と離れてまた近くなった今。

思い出のある。想いのこもった建築を残したい。

 

近く、下関市体育館の見学会を開催したいと思います。

 

ご興味のある方。
ご関心のある方。
建築が好きな方。
郷土を愛する方。
心がある方。

 

ご参加をお待ちしております☆

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