今日は山口市へ。概ね下関市から小一時間。
その小一時間がありますとマクラから一本、1人の落語家が聴けるわけであります。
好きな落語家さん。若手から真打、高座までいろいろいますが立川吉笑さんが面白く
「まくら」が実に上手い方が古今亭志ん八さんです。
「まくら」が面白いとそのままスッと演目へと導入されていきます。
そして「本題」があって「オチ」がある。
このこと。実生活でも建築でも大事です。同じです。
クライアントの洗面所には格言カレンダーがありました。
〝 人生には待つことが多い 〟
この「待つことが多い」を切り口として話がふくらみます。
私 「私はせっかちなので待つことが嫌いで、空いてる店しか入らないんですよ。」
施主 「分かるなぁ~。私も同じでラーメンを食べるつもりがうどんになったりするんですよ。」
私 「せっかちな方が釣りに向くって話。あれって本当なんですかね。」
施主 「それ本当。私の趣味は釣りですから。」
そこから釣りの話が30分。設計の打合せに花が咲きます。
変わって建築のはなし。
建物を建てる時、必ず行う作業として地盤調査があります。
木造住宅の場合など、小規模建築物の場合は簡易型のスウェーデン式サウンディング試験。
中規模以上の場合は標準貫入試験(ボーリング調査)という調査です。
敷地にいったいどのくらいの地耐力(地盤の強さ)があるのかを調べます。
地耐力の指標となるN値(エヌチ)の値が大きければ直接基礎(杭なし)で建築可能であったり
大きくても地盤の層となる土質(砂や粘土、シルトなど)によっては杭が必要であったり様々です。
その標準貫入試験(ボーリング調査)です。
櫓を建て、地面深くまでゴリゴリと掘り進めます。
この穴が建設地の。日本の。そして地球の。大地の構成地盤が分かるなんてロマンです。
ロッド(地盤に貫入する鋼製パイプ)からは標本(土質サンプル)を入手します。
この標本にて土質区分や粒度区分。はたまた圧縮試験、液状化の検討を行います。
最後に検尺です。
地盤調査の作業は調査深度によって数日かかるので、常駐していない設計監理者として立会します。
そして今回の調査。掘削深度は22.00m。
支持地盤(N値60の岩盤)は17.00mです。
建築の礎となる地盤構成を知ること。
揺らぐことのない地盤。目に見えない足元(地中)が設計の根本です。
〝 建築するという行為には待つことが多い 〟 が時間を掛けて考えぬくことが重要です。