「風呂の設計を依頼したのに、勝手に露天風呂を造るようなものだ。」
以前、こんなことを言われた事がある。
単に、クライアントの希望条件のみを設計するのは工務店や建設会社の仕事であって
では、私の仕事とはいったい何なのか。
この時はさすがに随分考えたものだ。
「仕事を一つ頼まれたら、頼まれなくても向こう三軒両隣まで一緒に設計しておく」
と云った建築家 安藤忠雄。
そんな安藤忠雄が審査委員長を務めた新国立競技場が揺れに揺れている。
最優秀賞に選ばれたザハ・ハデッドは予定敷地を大きくて超えた計画案。
建築を単体として捉えるのではなく、周辺環境を巻き込んで全体の景観として捉える。
ブラッシュアップされた基本設計は随分と丸みを帯びてコンパクトに収まってしまったが
大事なことはとメッセージ性だと思う。
課題は山積みかもしれない。
難作業が待ち受けているとも思う。
デザインビルドなんて蹴散らせとも思っている。
最近、境界について考えている。
人と人との境界。大人と子供との境界。建築と自然との境界。
見えない境界。
見える境界。
互いの垣根を取り払えれば随分と高く跳べる気がする。
これでいいのだ。
とかくそう考えることにしている。