記憶に残る風景とは何でしょうか。
幼少期に連れて行ってもらった遊園地。
学校の帰り道、探検と称して路地を歩き、そこで見つけた秘密基地。
プロレスの観戦やコンサートで行った体育館や大ホール。
何気なくいつも見る街かどの風景。
今までそこにあったものが突如としてその姿を消すことに虚無感を覚え
それは私にとって記憶に残る風景であったとしても他者にとっては何も覚えないこともあるのです。
私にとって素晴らしいと思う建築や風景もまた同じであり
逆に他者にとって素敵だねと感じる建物や風景も、私にとって何も感じないこともあるかもしれない。
学生の頃、よく待ち合わせをした天神イムズ。
黄金色に輝く有田焼のファサードが天神のランドマークでもあったこの商業建築が姿を消す。
屋上からの中央区の街並みを眺め、最下階へと巡る動線は最近では商業建築のみならず
美術館等の文化施設でもよく試みる手法である。
ファサードをカタチとったドアハンドル。
博多駅エリアでは磯崎新設計の西日本シティ銀行も解体され
都市は新陳代謝する。
打ち寄せる波のように、私たちはいつだって勝手に黄昏る。
そんな生き物である。