物事の本質は現場にある。
この言葉をいつも胸に刻み、模型やスケッチ。図面やパースだけで判断するのではなく
足繫く現場に通います。
3月も終わりの頃、広島市内での美容室の設計打合せの道中に立ち寄った真っ赤なコンビニ。
そして後ろにはズムスタ。
景観に配慮したコンビニのファサードはちらほらと見ますが、まさかここまでとは驚愕でした。
そして歩道のマンホールもカープ一色。
打合せも終わり、合流した後輩が私のために広島建築ツアーを企画してくれてました。
まず最初は〝旧日本銀行広島支店〟です。
戦前の昭和11年に建てられたこの建築。近代建築では有名な長野宇平治が設計です。
ファサードは古典主義的意匠となるオーダーの列柱と花崗岩の装飾が銀行建築を象徴しています。
内部はロビーと営業室を繋ぐ大空間の吹き抜け。格天井の天窓から降り注ぐ優しい光がとても優美です。
そして地下にある金庫室。
過去に銀行を2支店ほど設計した経験がありますが、ここまで堅牢性の高い扉は初めてです。
これが日本銀行。 THE 日銀 です。
続いて〝旧帝国銀行広島支店〟です。
原爆が投下された際の爆風で屋根は抜け落ち、外壁も損傷した建築遺産としての歴史ですが
ファサードはしっかり保存され、現在は用途が変わりパン屋さんに替わってます。
さて、ここからが本題。いや、本番。
テレビで見て一度は訪れたいと恋い焦がれた〝重富酒店〟です。
料飲店に酒を卸すだけの商売。酒屋なら酒に特化しよう。
しかし、料飲店の迷惑になってはいけない。
そうだ、店舗が開店する前の2時間だけ。その2時間だけビールを2杯提供しようじゃないか。
そんな気概から生まれた〝ビールスタンド重富〟です。
注ぎ方は 壱度注ぎ。弐度注ぎ。参度注ぎ。重富注ぎ の全部で4種類。
@ちなみに参度は注ぐのに5分かかります
一人2杯しか飲めないため、意思決定は困難を極めます。
〝昭和〟と〝平成〟 2つあるビアサーバーの前に立つ重富さん。
慣れた手つきと軽快なトーク。
感想は一言。
「常識が変わった」@プロジェクトX風
今まで飲んだビールがフェイクであって、本当のビール。本来の旨さを実感。
ビールというオーソライズした概念を打ち破った。そんな境地です。
冷蔵庫から取り出した缶ビールをプシュっと空けるたび、そして飲むたびに
あの時のあの味を思い出す日々。
私はキリン党です。
愛読書もキリンです。
何だったらキリンの社長から感謝状を頂いてもいいぐらいキリン一押しです。
ですが、アサヒもなかなか捨てがたい。。。